外国語の授業記録〜ときどき英語学習〜

外国語の授業実践を中心に発信しています!ときどき英語の学習についても。

Small Talk〜話す力が伸びる7つのポイント〜

こんにちは、もっちゃんです。今日はSmall Talkについて。

少しオーバーかもしれませんが、Small Talk外国語の授業の要であると考えています。

Small Talk の目的は『小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック(文部科学省2017)に示されています。

  1.  既習表現を繰り返し使用できるようにして、その定着を図る。
  2. 対話を続けるための基本的な表現の定着を図る。

つまり、「対話を続けるための基本的表現や既習事項を定着させることをねらいとしています。

上記は表向きの目的です。これだけでなく、Small Talkには英語を話そうとする姿勢や聴く力など、コミュニケーションの大事な要素が含まれています。

また、言語の醍醐味でもある「相手に気持ちを伝えたい、相手の気持ちを理解したいという思い」や「知識や情報のみならず、情感を通わせる」ことができるのです。

子どもがSmall Talkに意欲的に取り組めるように、以下の7つのポイントを大切にし て 活動に取り組みました。その結果、子ども達のSmall Talkの満足度は高く、楽しみながら話す力と聴く力を身に付けることができました。

 

1つ目は、本当の「失敗」の意味を説明する

外国語の授業の始めやSmall Talkの前に、挑戦しないことが本当の失敗であることを日本語でしっかりと伝えます。

最初は子どもに響かなくても、繰り返し伝えていきます。

 失敗していい」「失敗なんて何でもない」と考えると実際に失敗する確率は大幅に低くなるという研究結果があります。

能力を発揮することを阻害する最大の要因は不安感です。この不安感を取り除き、「失敗してもいいんだ」という心理的安全性を高めるための説明になります。

 

 2つ目は、話す側よりも聴く側が大切

質問に答える側より聴く側の方が大切です。反応が無いのは無視しているのと一緒と伝えます。非言語の相槌は誰でもできます。また、聴く側がよいと答える側も安心して話すことができます。

聴く側の反応の例として、以下のようなものを授業では取り上げています。

 

3つ目は、価値付けること

外国語ほど失敗や間違いを恐れない気持ちを必要とする教科はありません。母語ですら間違うのに、第二言語で間違わないはずはないのです。その恐怖心を乗り越えて話そうとする姿が見られたら、必ず価値付けます。

また、話そうとする姿勢以外にも褒める観点があります。

話す側声の大きさ、アイコンタクト、ジェスチャー

聴く側相槌、レスポンス

活動後に全体で褒めて価値付けます。英語を流暢に話せていたや難しい表現を使えていたなどは評価の対象とせず、活動への姿勢と意欲を価値付けるようにします

 

4つ目は、リスニングやTeacher’s Talkで意識的にインプット 

話す題材はリスニングやTeacher’s Talk を通してしっかりとインプットされていることが大前提となります。

インプットが不十分だと話せないだけでなく、Small Talkの質はもちろん、活動自体を嫌いになってしまいます。教師が発する言葉は全て子どものインプットになると考えて言葉を選べるのが理想です。(私はまだまだできていません)

 

5つ目は、身近な話題の設定 

言語材料を疑問文だけに絞ってみると 

3年生では、

Unit2 How are you? How many~?

Unit4 Do you like~?

Unit5 What do you like? What ~sport do you like? Do you like~?

Unit7 What do you want? What ~ do you like? Do you like~? How many~?

Unit8 What’s this? Do you like~?

Unit9 Are you~? Who are you? Who am IWhat ~ do you like? Do you like~? How many~? 

4年生では、

Unit1 Do you like~?

Unit2 How’s the weather? Do you like~? What ~ do you like?

Unit3 What day is it? What ~ do you like? How’s the weather?

Unit4 What time is it? What day is it? How’s the weather? How about you?

Unit5 Do you have ~? How’s the weather? What ~ do you like? What day is it? How many~?

Unit6 What’s this? Do you have~? What do you want?

Unit7 What do you want? How many~? What’s this? Do you like~?

Unit8 Do you like~?

 3-4年生では特にDo you like~? What do you like? の頻出度が高いため、5-6年生でのSmall TalkではWhat ~ do you like? を題材としてSmall Talkを行うことがお勧めです。

好きな○○、どっちが好き?は1学期のSmall Talkにぴったりです。英語を話せるという自信にも繋がります。

 

6つ目は、目標時間の設定

理由もなく全力で走る人はいません。なぜ走るのか、どのように走るのか、どこまで走るのかを子どもに伝える必要があります。

ここではどこまで走るかを示します。時間を決めることで目標が明確になると同時に集中力が高まります。会話を継続させることが活動の目的ではありませんが、目標時間があることで動機付けになります。

また以前の自分と比較でき、成長を可視化にも繋がります。最初はあえて短い時間で設定して、「もっと話したかった!」「もっと話せた!」を引き出すのがおすすめです。

活動時間中は、一つのテーマに絞るのではなく時間の許す限り、既習内容でSmall Talkを楽しみます。

最初は30秒で設定します。全く時間が足りないことを感じさせた後は、もっと長い時間に挑戦したい!という声が聞こえてくると思います。私は全員が中学年は1分間、高学年は2分間は話し続けられるように指導しました。

 

最後の7つ目は、Small Talk後に振り返り

「伝えたい表現があったけど言えなかった。」と感じたなら最高の学びのチャンスです。時間的に難しいこともありますが、一人ひとりが話したかった表現を調べたり、既習表現を復習したりする時間の確保が大切だと考えています。

前年度はただ話したかった表現を調べるのみで終わってしまったので、今年度はSmall Talk専用の振り返りカードを作成し(ロイロノート)、積み重ねや成長の可視化を行います。

 

以上の7点です。

Small Talkは帯活動として、またはウォーミングアップとして取り入れられることが多いと思いますが、Small Talkがうまくいけば外国語の授業そのものがうまくいくと私はは考えています。

 

よりイメージを具体化するために去年度の実践を共有します。

実践具体例(6年Unit8)

時間は短めの1分半、トピックは下記の4つです。

1. What do you want to be?

2. What clud do you want to join?

3. What subject do you want to study?

4. What school event do you want to enjoy?

今まで視覚的支援のあるスライドで投げかけてきた表現ですので、意味を理解できている子がほとんどですが、始める前にもう一度子どもとのやりとりを通して意味を確認しました。

大事なのは話す側ではなく、聞く側」としつこいぐらい言っています。

必ず友達の言葉に反応しながら、相槌を打ちながら行います。

座席は以下ののように一つずつズレて移動していきます。

3回連続で行った後、英語で伝えたかった表現を思い出し、調べる時間をとります。

クラスによって調べるのに必要な時間は異なりますが、5分ぐらいが適切だと思っています。

今回は話すトピックが4つもあるため、基本的に1分半では時間が足りないペアがほとんどです。

中には1つ目の"What do you want to be?"で話が膨らみ、それだけで1分半が終わりそうなペアもいました。

そのペアは、"Why?"であったり、"Do you like~?"" I can~"など既習内容を多く使って話しています。席移動時によかったペアを価値付け、全体で共有します。

 

イメージは湧きましたでしょうか?Small Talk楽しみましょう!!

最後まで読んで頂きありがとうございました。